『ビジュアル映画』という称賛とも揶揄ともとれる評価を受けた【ザ・セル】で名を馳せたターセム・シン監督による、大怪我で何もかもを奪われ自暴自棄に陥った青年スタンドマンと純粋な少女との『作り話』を通じての心の成長を描く御伽ヒューマンドラマ。
恐らく一番『自然』に独創的な監督のビジュアル表現、及び石岡瑛子氏の奇抜な衣装を登場させることができる『作り話』というコンセプトが気持ち良いぐらいに機能している。
事故で下半身不随となり、自暴自棄になったスタントマンと、骨折で入院中の一人の少女の心の交流を軸に、スタントマンが少女に思いつくままに語るおとぎ話をエキゾティックかつイマジネーション溢れる映像美で描き出している。
この二人のやり取りの中で進むお話が素敵な映像として同時進行するのだが、この話は、女の子にとってはとても大切な素敵な話となるが、男にとっては動けない自分に代わって悲しい頼みごとをする為だけの話だってのだ。
実に幻想的に、物語は何のために存在していのかという問への一つの答えを描いた本作は、少なくとも『ビジュアル映画』の一言で終わる作品ではないことは確かだと思う作品。