Naoko

落下の王国のNaokoのレビュー・感想・評価

落下の王国(2006年製作の映画)
4.5
前衛的で難しいのかしらと薄目で見てたら、めっちゃおもしろい映画だった。美しい映像と登場人物が自身の物語を語る構成から「ライフオブパイ」を連想。
アレクサンドリアもロイもなかなかしんどい状況ではあるが、回りがいい人たちなのでそれだけで和む。カーテンで囲ったベッドの上の温かで親密な雰囲気。アレクサンドリアちゃん本当に愛くるしい。物語にはくっきりと語り手が投影されるが、話して聞かせることによって聞き手の息遣いも混じっていく。これはふたりの物語だとアレクサンドリアが訴えるように、彼女の希望や生命力が物語に流れ込んで、ロイが変容する様は実に美しい。そんな話し手と聞き手の相互作用を堪能する一方で、ため息をつくような精緻な映像が、世界遺産を舞台に繰り広げられる。鑑賞後は、なんとはなしに人間と世界と神のこと、思いを巡らせております。
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