えりーぜ

落下の王国のえりーぜのレビュー・感想・評価

落下の王国(2006年製作の映画)
5.0
いや、凄い。
これまで観た映画の中で間違いなく最高の部類に入るんだけど、他の"最高"の映画と全然ちがう。すごい。
何がすごいって、まずは映像。幻想風景が鮮やかに迫ってくる衝撃。身体や自然の美しさが、そのまま映すのではなく演出として描き出される。
人種も国籍も出自もバラバラの登場人物が繰り広げる冒険譚。空想の産物ではなく、実際に身の回りにいる人物をモチーフにした作り話なので、現実とオーバーラップして区別がつかなくなる…。

子どもに物語るお話。子どもにせがまれて、柔軟に展開を変えるおとぎ話。
語り手は行き当たりばったりに話を作るけれど、聞き手である子どもの眼前には物語世界がリアルな色彩を帯びて迫ってくる。
物語で救われることが現実の救いになることもある。重要なのは、自分自身の可能性を信じることと自分以上に自分を信じ愛してくれる者の存在だ。
刷り込みのように無防備に子どもはなつくけれど、その無邪気な信頼と期待が救いになることもあるって話。ハッピー・エンドでなくても、幸運な日々を祈る。