あーさん

落下の王国のあーさんのレビュー・感想・評価

落下の王国(2006年製作の映画)
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先延ばしにするのはやめよう!シリーズ
その3

2〜3年ほど前にタイムラインによく流れていて、ずーっと気になっていた作品。
ようやく鑑賞!

レンタル店にあるはずなのに、なかなか見つからないので店員さんに探してもらったら、SFコーナーにあった。
ん?SFって何の略だっけ??
改めて調べたら、"サイエンス・フィクション"なのだそう。。
ピンとこないな。宇宙とか出てこないし、
どちらかと言えば "ファンタジー"なのでは?…
まぁ、それはさておき。

前回レビューした"カメラを止めるな!"とは真逆のテイスト。
24カ国、世界遺産13ヶ所でロケを敢行、
構想に26年、撮影に4年かけて作ったターセム監督こだわりの一品。。

とにかく美しいこと、この上なし!

モノクロ、スローモーションを多用した何とも言えない象徴的なオープニング、
くっきりとした青空と砂漠の地平線とのコントラスト、
アカデミー賞受賞デザイナー石岡瑛子氏のまるでパリコレのような煌びやかな衣装、
数々の歴史の重みを感じる世界遺産の中で繰り広げられる冒険活劇、、

映像があまりにも美しいので、一度観ただけではとてもではないが、捉えきれない。
こちらは手元に置いて、何度も何度も観て楽しむ作品だと思う。
故に、ストーリーの辻褄やハラハラ・ドキドキとは少し距離を置く作品なのかな。
アクションや闘いではなく、哲学的というか、あくまでも映像美・心のありように重きを置いて描かれている。

時は1900年代初頭頃だろうか、懐かしい雰囲気の残るアメリカはロサンゼルス。
撮影中の事故で橋から落下し重傷を負った上に失恋、自暴自棄になっているスタントマン、ロイ。
農場の木から落ちて手を骨折、同じく入院している5歳の少女アレクサンドリア。
この二人が偶然出会う所から物語は始まる。

子どもの病棟には居場所を見出せないアレクサンドリアは、お話を聞かせてもらうのを楽しみにロイの元へ通うように。
彼女はロイにどこか亡き父の面影を見ているようだ。
心と体に傷を負っている二人が、ロイの作り話の中に入り込み、いつしか物語の登場人物となって、心の旅をする。。

山賊、インド人、奴隷、ダーウィン、爆破王、霊者、、、それぞれが横暴な総督オウディアスに恨みを持つ勇者である。

悲観的で自殺願望のあるロイ(リー・ペイス)は、登場人物をどんどん死なせていくのだが、アレクサンドリアは"Why?"と泣きながらロイに"それは嫌だ" と訴えるのだった。
アレクサンドリア役のカティンカちゃんが何とも可愛らしい!
たどたどしい英語、プクプクした体つき、すきっ歯、腕にギプスをしている為不自然な動き等が、一々胸にキュッとくる。
お人形のような綺麗な顔立ちの子役ではなく、親しみやすくて庶民的な感じがかえってキュート。

ロイの死(絶望)へ向かうエネルギーとアレクサンドリアの生(希望)へ向かうエネルギーと。。
せめぎ合う二つのエネルギーが最後に一体どうなるのか?!
ロイがアレクサンドリアと共に旅することで取り戻したものとは?
アレクサンドリアがロイとの冒険で得たものとは?…

大人が思うよりずっと、子どもは力を持っている。ロイとアレクサンドリアを親子関係になぞらえて、どちらが大人なんだろう?
与えているつもりが、与えられていた。
支えているつもりが、支えられていた。。
幼いながらも母のようなアレクサンドリアからそんなことを感じた。




ここからネタバレ
↓ ↓ ↓ ↓








ラストシーンは一捻り。
昔のサイレントの頃の映画(私にわかるのはキートンくらい…)のワンシーンがいくつも出てきて、この時代の映画に詳しい人はさぞかし胸アツだろうな、と思わされた。(今の自分ではとてもじゃないけれど言葉が足りない。。)
例えて言うと"ニュー・シネマ・パラダイス"のラストシーンのような趣き。
ちゃんと作品を味わう為にも、いつかこの時代の映画も観てみたいなぁ。。
映画の歴史を紐解いてみたいと思わされた。
まだまだ、私の知らない世界が待っている!



MEMO**

主なロケ地

チェコ🇨🇿プラハ城
イタリア🇮🇹コロッセオ
インド🇮🇳タージマハル、
ファテブル・シークリー、アーグラ城
カンボジア🇰🇭アンコール・ワット
中国🇨🇳万里の長城
ナミビア🇳🇦トワイフェル・フォンテイン
エジプト🇪🇬ピラミッド
フランス🇫🇷エッフェル塔


なんと、このロケ地を聖地巡りした方のブログを見つけたので、ゆっくり読んでみようと思う。


追記**

オープニング、ラストのシーンと本編の繋がりがよくわからなかったので、簡単にその頃の映画の歴史をググってみた。
1888年 世界最初の映画
1920年代末 発声映画=トーキーが発展。
1927年 世界初の長編商業トーキー「ジャズ・シンガー」登場。それまでは、ほぼサイレントだった。(Wikipediaより)

作中のロイはサイレント映画のスタントマンをしていたので、今作ではサイレント時代の映画へのオマージュがふんだんに散りばめられているのだと知った。
今の映画がここまで発展したのも、この頃の映画人の努力があってこそ。

改めてそんな感慨深い思いに浸りながら、バックグラウンドもわかった上で再鑑賞する日を楽しみにしている。