ぎょうざ

落下の王国のぎょうざのレビュー・感想・評価

落下の王国(2006年製作の映画)
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子供に物語を聞かせる、その子の心に潜む闇を暴き、その壁を乗り越えさせる。
『怪物はささやく』ぽくもあるけど、そうでもないか。

ストーリーテラーを担う青年・ロイに、聞き手の少女・アレクサンドリアが、教会の洗礼用のウエハース(口に入れる白くて丸いお煎餅みたいなやつ)を持ってきて、食べさせてあげるシーンで、
アレクサンドリアは普通にお菓子を持ってきたつもりなのに、
「これで僕の魂を救うの?」
と弱々しく問いかけるロイの声があまりにも切ない。
アレクサンドリアも「?????」と理解できなかったけど、ロイは何度も尋ねる。
救いであってほしかったんだろうな。
この少女を本当の天使だと思いたかったんだろうな。

話して聞かせる物語の画もすごく綺麗で、モロッコの町並みのような街を崖の上から見下ろすシーンとか、すごく「復讐」だけではない「旅」の色も感じられて、本当はただの復讐劇なのに、ワクワクさせられる。

美しい。
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