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嫌われ松子の一生のbluemomday0105のネタバレレビュー・内容・結末

嫌われ松子の一生(2006年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

「白鳥になりたいと思ってたのに、気づけばカラスだったんだ」
涙無しに見れなかった。途中から涙と鼻水垂れ流しながら観てた。これは私だ。こんなに世の中に人はいるのに家族も恋人もいない、孤独だけが傍にいる。

だって私の頭の中にも「生きてる意味無いね」と嗤うカラスが住んでいる。「誰にも何にも必要とされない人生いつまで続けるの?早く死ね」とカラスがずっと鳴いている。
松子みたいな男性遍歴はないけど、1人で仕事もせず、日々の楽しみは芸能人の動画見るだけとかまんますぎて。数年後に中学生にバットで殴られて、ゴミみたいに死んでしまうのか。

こんなはずじゃなかったのに。もっと楽しく幸せな人生を生きたかったのに。
なぜ他の人のようにうまく生きられない?
なぜ最初は好意的に接してくれた人にすらウザがられてしまう?
なぜひとりぼっちになってしまう?
もうわからない。才能もないのに与えられたものを受け入れて生きる謙虚さがなかったから?
いつまでこんな思いをして生きていかなくてはいけない???
以上、嫌われ〇子の一生。

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松子には、無条件に愛されることがインストールされていなかった。愛されるために何かを差し出すことが常だから、見透かされて軽く扱われるのか。今見ると典型的な毒親映画なんだけど、当時は毒親って概念はあまりなかったように思う。
もちろん父親が松子のことを嫌いだったわけじゃなく、むしろ死ぬまで気にかけていたけど、やはり口や態度に出さなきゃわからない。
その辺りを気遣っていられたら、松子の人生はまた違ったのだろうか。修学旅行の件の対処も違ったのだろうか。
だって自分に自信が無い人間の、典型的な行動だよあれは。

POPなミュージカルテイストが、余計に愛されることを求め続けた松子の生涯の闇を色濃く映し出してた。
中谷美紀すごくよかったよ。若さの加点を抜いても映画じゃ代表作でしょ…。今やいやい言われてる蜷川実花のドラマよりも全然いいよ。終盤は特殊メイクなのかな?
もう1人の主人公(松子の甥役)の瑛太若い!まだ色がついてない感じがよい。あとスカパラ谷中さん、ボニーピンク、AIとミュージシャン結構出てるのねと。

瑛太の恋人の柴咲コウの「人間の価値って、人に何をしてもらったかより人に何を与えたかだと思う」って台詞。若干宗教的ではあるけど普通に刺さる。でも与え続ける人生も辛い。与えてるのか搾取されてるのかもわからなくなる人生。
だってピカソもゴッホも生きてる間に評価されてほしかったやん。死んでからFacebookやInstagramで「もっと会って話しておけばよかったよねRIP」なんて箸休め&ファボ狙いみたいな御為倒し聞くよりも、松子の友達の姐さんみたいに「うちに来なよ!」って言葉を聞きたいよ。今の私には言う資格も無いけれど。

松子は何度も「人生、終わったと思った」と絶望するけれど、そのたびどうにか起き上がれたのに、「あたしまだやれる!」と希望を見つけた途端ゴミみたいに死んでしまうのって本当に人生だなと思いました。
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