らんらん

雁のらんらんのレビュー・感想・評価

(1953年製作の映画)
3.5
時は明治、近所のお婆さん(飯田蝶子)に薦められ再婚したお玉(高峰秀子)、初めは何不自由ない暮らしと優しい旦那(東野英治郎)、夢のような暮らしであったのだが次第に雲行きが怪しくなる、、、

森鴎外原作の「雁」の映画化、13年後に再び大映が若尾文子主演で映画化している、そっちのほうが見たい!w

当然原作は未読なんですが、明治時代ってこともありその時代の苦労を描く作品
特に女性はつらいですね、主人公の高峰秀子はちょっとした美人なんですが家は貧乏、年老いた父を抱えている、さらに一度結婚を失敗している、前の夫が実は妻子持ちだったらしい
そんな状況なので贅沢は言えない、呉服屋を営みお金のある男、妻とは死別しているとの情報を信用して一緒になるが、、、やっぱりそんなのは大嘘、呉服屋でもなんでもなく多くの人に嫌われる高利貸し、しかも妻子持ち

男運のなさがつくづく嫌になり別れたいデコちゃんなんですが、女が一人で生計を立てるのは難しい
相談に乗ってくれるお隣の先生(三宅邦子)はそこを強調し、父親は以前の貧乏暮らしには戻れない辛抱しろ、といった具合

そんな暮らしの中訪れるトキメキ!家の前を散歩する書生(芥川比呂志)さんに惹かれちゃう、でもそこは時代っぽく何事もなく打ち明けられないまま若者は旅立っていく、みたいな終わり

こんなにメイン級な東野英治郎は珍しいかと、しかもそんなに悪役って感じなわけじゃない、暮らしには不自由させないし最後までそれなりに優しい
でもデコちゃんは騙されていたわけだし、縛られるのがもういやなの、ラストは旅立つ書生さんと、飛び立つ雁を見送っての終わり、、、この先どうなるんだろう?普通に考えたら妾暮らしから抜けられないままと思われるけど

現代だったら即!判明した瞬間お別れになりそうだけど時代的なものもあって、なかなか難しいんですね
東野英治郎の妾に対する愛はそれなりに本物なんだろうけど、、、うんヤリモクにしか見えんww 会う目的家に来る目的がそれだけだもん、そりゃ理解してもらえないよ

印象的なのは東野英治郎の本妻役の浦辺粂子!デコちゃんの家をジトッとホラーのように睨んでる、その恐ろしさ
そして望んでいないんだけどサービスショットがあったりなんかするw それもある意味恐ろしい
デコちゃんも負けじと?着物をはだけさせて見えるかも!?みたいなシーンがあったりと、なかなか過激なシーンもあったりする

あとは劇中書生さんたちが歌うシーンが結構あって印象に残りました
調べてみたら第一高等学校(現東大)の寮歌「嗚呼玉杯」って曲らしい
日本三大寮歌の一つとされ、寮歌の中で広く知られている歌の一つである、とか、そんなことも勉強になりました
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