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乾いた人生のmingoのレビュー・感想・評価

乾いた人生(1963年製作の映画)
4.2
2年半前のドスサントス特集で他作のクセが強すぎてきつかった印象しか無かったがタイトル通り「絶望シネマ」の上位に君臨しながらもノヴォシネマローシャ作の傑作「青い年」と同年63年に製作されたシネマノーヴォの傑作。冒頭のオウムの鳴き声とラストの巨大なサイレンで抜けられない円環を意図的に施し、太陽が土地の水分をすべて吸い上げ家畜や生命は悉く干からびる、故に広がる絶望砂漠で鑑賞者も抜け出せない地獄へ突き落とす、シンプルな映像表現が明らかにず抜けている。牛飼いの親父は警察に抑圧され鞭でボコされるも生き抜く希望は捨てずにサボテン焼いて牛に食わせたりおかんは水溜りの泥水を瓶いっぱいに酌み高級な靴でおしゃれしつつもトマイスが持ってる革のベッドの話を延々としたり子供たちは(パルムドッグ賞があれば君臨すべき)最高の旅先案内人イッヌバレイアに虜だったりと「生」の部分が見事に活写されている。絶望しては空にカメラがパンされ「渡り鳥」が飛んでいる演出は観てるこっちも泣きそうになる。鳥になりたいよな。バレイアが最後目を閉じる場面、子供の頃「プライベートライアン」でメリッシュがゆっくり刺されて死ぬシーン(がトラウマだったが)を想起するレベルのいかつさ…バレイアに群がる3匹の鼠可愛くて悔しかった…
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