ざきつー

愛のエチュードのざきつーのレビュー・感想・評価

愛のエチュード(2000年製作の映画)
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舞台設定がいいなって思いました
湖と建物、ステキ!ってなりました

主人公はなんだかすごく変な人
どうしたってわかりあえそうにない
でも不思議とイヤな感じはしないんです
展開するにつれその変人具合が妙にかわいらしく思えたり、なにより彼はとても純粋な人なんだなと気づきました
だからこそ彼の苦しむ姿は真に迫っているように思えたんでしょうね
幼い頃からずっとあの居心地の悪い家で育てられて、救いの手が差し伸べられたかと思いきや、彼は単に金儲けの道具としてか見ていなかった
主人公はとことん不遇な人生を歩んできています
そしてそれを打破することもできない
あるのはただチェスというゲームだけ
すがりつくようにその盤上に食らいついてようやくある程度の実力と地位を得て、ヒロインと出会う…
彼はそこでまさに、自分の運命を初めて知ったのではないでしょうか
はたから見たら主人公はやべえ人でも、でもそんなことなりふり構っていられないですよだって彼女に出会ってしまったから
わずかな時間であったけれど、彼は確かに幸せを手にしていたんでしょう

タバコを吸うときだけ彼は常人に見えました
着ているスーツは少しサイズが大きめなのでしょうか、でもそんなこと気にしないそぶりも頓着のなさを彼らしさを表していていい


チェスってのはもっとこう、静かな戦いをイメージしていましたけど、そんなことはないんですね
夏ということもあってか、やけに暑苦しく見えました
対局時計を力強く叩くのも鬼気迫るって感じでしたね

さてヒロインですよ
静かに見えてそのくせ芯の強い女性でした
ベンチで本読んでいる姿なんか素晴らしかったですけども
僕はなによりも、彼女の彼を理解しよう、理解したいという気持ちがとてもいいなと思って
変な人がいたら避けるか関わらないかするのが一般的だと思うんですよ僕は
得体の知れない相手は怖いし、近寄りたくない
でも彼女はそうじゃない
きちんと彼の本質を見ようとしたわけで、その結果結婚までしてしまうんです
男からしたらとんでもなくいい女って感じですよね
ご都合展開ってのは確かにそうかもしれませんが、しかし運命ってのは案外そういうものなのかもしれません

主人公の代理で対局に臨むヒロインの美しさに僕は息をのんだのでした
ざきつー

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