テロメア

ソラリスのテロメアのレビュー・感想・評価

ソラリス(2002年製作の映画)
4.5
ソラリスの描写がとても美しかった。

2000年代初頭のハリウッド映画なのに銃撃戦もなければ爆発もしないという、当時のハリウッドからしたら珍しいくらいの静謐さ。昔、リアルタイムに流れた今作の予告編が気になっていたけれど、いつも観る機会を逃していたが、それがよかったみたいだ。前々回に観た『惑星ソラリス』を先に触れることができたため、今作の作りをかなり好みに感じた。

おそらく、当時にリアルタイムで観ていたら、こんな風に好みには思わなかったろう。二十年程前だから僕自身がまだまだだったのもあり、今までタイミングが合わなかったことに感謝だ。ただ、なぜ二十年も経つのに今だにBlu-rayが日本にて未発売なのか疑問だ。ぜひともリマスター版でBlu-ray販売をしてほしい。

さて、今作はタルコフスキー版(僕のスコアは5.0)とは下がっているけれど、これはあくまで僕自身の好みの問題です。クリス以外の乗員の年齢層がもっと渋みがあればよかったかなぁ、と。特にゴードン役の演技演出が過剰に怒っているように見え、クリス役のジョージ・クルーニーに「冷静になれ、頭を冷やせ、現実を見ろ」というセリフをかなり感情を込めて言うので、落ち着き払っているクリス(けど、ソラリスに取り込まれていると見えるのは、普通の感覚からしたらクリスだが)、感情的なゴードンと冷静に話を聞くクリスだと対比としてゴードンが間違っているように見える図、なところが残念だったかな。言葉の内容よりも演出によって見え方が変わるのは、アメリカなら歴代大統領選討論会などで周知だろうに、と。

あの対比を是とするなら、生への執着と生からの解放の対比だろうか。ソダーバーグ版としてのラストシーンへの導きへの演出だとするなら、あり、なのかな。引用されたディラン・トマスの詩など、とても印象的で静謐な感じだったので、その抑えた演技演出で貫いてほしかったかなぁ、と。まあ、あくまで好みとしては、だけど。

今作のBlu-ray、出て欲しいな。
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