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ソラリスのmakimakiのネタバレレビュー・内容・結末

ソラリス(2002年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

セリフは少なく、俳優たちの演技もミニマム。伝える映画というより、見た人に考えさせて想像を膨らませる系映画だった。

世界観はブレードランナーを彷彿させ、終始、まるでこちらが夢でも見ているかのような錯覚にさせられる。独特なリズム感というか、苦手な人は苦手かもしれない。

Sci-fiというより、哲学というかスピリチュアルな見方をするとなんとなくこの映画の魅力が少し広がるかもしれないなと。

夢なのか現実なのか、場面の切り替わりに差がなくなってくるあたりから畳み掛けられる。もはや、夢なのか現実なのかは映画の中で、或いはChrisの中で問題じゃなくなっていたからかもしれない。

Snowの死を境に、ChrisとGordonは真っ二つにー

数少ないセリフの中でChrisが放った”I remember her wrong”という言葉から考察。Chrisは亡き妻を才色兼備でどこかミステリアスで、自己が強すぎて定職に付けず、他の人たちとうまくやっていけない、情緒不安定で自滅的な部分があると記憶していた。彼のVisitorである死んだ妻は、Chrisの記憶の中から実現化された物体。だから、彼女のようで彼女ではない。彼の記憶の一部や思い込みから作り出された物体であるため、それ以上でもそれ以下でもない。妻1号目は彼の浅め(?)の記憶なのか彼女と出会った当初の記憶から生成されたからなのか、彼女っぽさというか中身があまりなかったように感じるが、妻2号目は彼のより深い記憶から作り出された彼女だったため、Chrisにとってはより本物に近く親しみやすさがあったため手放せず、セカンドチャンスとしてやり直したいと思ったのかもしれない。
ただ、彼自身の恐怖から作り出されてため、最悪な状態を実現化する。

Gordonは目の前で起きていることに納得行かず、抗いながら地球へと帰ったがChrisは妻を間違って記憶していたことを切迫した中で悟り、まるで降参したかのように受け止めてSolarisへと一体化した。その先に彼が見たものはまさしく彼が見たかったものだった。(過去の過ちも許された世界。生も死もない世界、永遠に愛する人といること。)

アイロニーというか皮肉にも、今私たちが住んでる現実世界も完璧に世界や他人を理解できているようにみえて、実は自分というフィルターを通した世界や人が目の前に鏡のように映し出しされているという観点ではあまり変わらない。自分が知っていると思っている相手の部分しか実は知らない。不可解な現象だと思っていたことは、実は現実で既にもう起きている。
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