橋素電

24アワー・パーティ・ピープルの橋素電のレビュー・感想・評価

3.9
24アワーパーティピープル というお気楽なタイトルがついてますが、登場人物たちは真剣そのもの そりゃそうです、踊るのではなく24時間踊らせる側の人々のお話ですから

ドラッグと音楽と地域性が深く結びついた、アーティスト主導ではなく オーディエンス主導のムーブメント それが「マッドチェスター」でした

この映画ではパンク モッズの隆盛から ポストパンク ニューウェーブの誕生 前述のマッドチェスタームーブメントまでをとても解りやすく時系列にそって物語化しています

前半のポストパンク史までのヒリヒリとした焦燥感、重苦しさに比べると ハッピーマンデーズが登場してからの後半はまるで別の映画が始まったかのようなクレイジーな世界に舞台が転換します

でもこの天井がスコーンと抜けた感じって、ハシエンダが盛り上がった時に当時の人々が感じてた つかの間の享楽感そのものなんじゃないかなと思いました

僕のようなブリットポップから後追いでマッドチェスターを学ぶ者には非常にありがたい回顧録ですね

ハッピーマンデーズレコーディング中のやりとりが印象的で最高でした

プロデューサー「音が外れてるぞ、E(ミの音)をくれ」
ショーン・ライダー「E(エクスタシー)をくれってか?いいぜ、ベズ!持ってんだろ?」

マッドチェスターは確かに一時の馬鹿騒ぎだったかも知れない、でも天才たちが全てを賭けて作った 全身全霊の馬鹿騒ぎが当時のUKにはあったのです
橋素電

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