ゴン太くん

野火のゴン太くんのレビュー・感想・評価

野火(1959年製作の映画)
4.5
船越英二が演じた主人公は、殺すつもりがなかった地元の女性を撃ち殺してしまい、やや乱れたワンピースの裾を直してやる。やはり元々潔癖なところがあったのかもしれない。しかし、食料や衣料にはプライドを捨てて飛びつく。死体の靴を誰かが取り替え、そいつが捨てた靴が自分よりマシだからとまた取り替える。組織が壊滅し単独行動を取っていた3名の兵士たちは、醜い食料の奪い合いへと発展する。そして人肉食いへと発展するのだが、そこは原作と違い固くて歯が欠けるシーンになった。ここが実に不気味だった。必死に生きようとする人間に、なぜ嫌悪感を覚えるのか。二重、三重にもなる深いテーマに感じた。