たか

新少林寺/SHAOLINのたかのレビュー・感想・評価

新少林寺/SHAOLIN(2011年製作の映画)
5.0
 日本公開決定前から、いや、撮影のクランクインのニュースを聴いた時から楽しみにしていました。
 結果、期待以上の作品でした。
 仏教の宗派に関する矛盾はあるかと思いますが、利他心など様々な仏教の教えが含まれており、とても心が洗われる作品でした。さすが少林寺、アクションも見事だし、残虐なシーンが緩和されれば、子供にも観せたいです。
 乱世で人を信じるのは難しいですよね。心を見抜くのは難しいですよね。だから誰をも信じなくなってくるし、全てを疑うようになって来ます。アンディ・ラウ(候杰<こう・けつ>役)もその一人で、平和な世ではきっと最初から慈悲深い人だったはずなのに、乱世では知らずに鬼将軍を演じてしまっています。
 いや、仏性は全ての人に潜在しているので、候杰だけではなく全ての人に言える事なんですけどね。
 そして、やはり想いは言葉では伝わりにくいですね。行動を示す事で伝われば良い方で、結局は本人の体験なくして本当に伝わる事は難しいのかもしれません。
 また、ある意味真面目さが売りの少林寺、ここにジャッキー・チェン(悟道<ごどう>役)のコミカルなシーンが加わって、品格を落とすのが心配でしたが、やや控えめな登場だったので安心しました。いや、ジャッキーは大好きですよ。ただ適材適所って言うものがあるので...。
 アクションや仏教の教えも良かったのですが、シンプルなストーリーの中にも極め細やかなシーンが多く、その辺が凡作じゃないと言える所だと思います。例えばラストの大仏の掌とかですね。
 無用な希望ですが、西洋人の攻撃に対して、中国内の敵味方が協力するシーンもあったら良かったな、ニコラス・ツェー(曹蛮<そう・ばん>役)と生き残った少林寺の面々で、少林寺を再建するような続編があったらいいな、と思います。でもこれから共産党が台頭して来るので難しいかな。
 蛇足ですが、日曜のモーニングショーで6人でした。映画「1911」もそうでしたが、ジャッキーと言うだけで客を呼べる時代は終わっているようですね。ただこの作品は凄いです。興行成績で映画を選んでしまうと、知らずに良作を見逃してしまいます。久々にもう一度観たい作品です。お奨めします。
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