のび

のびの感想・レビュー

2016/09/17
スイミング・プール(2003年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます。

映画『スイミング・プール』は、主人公のミステリ作家サラが過去の自分と決別し、新しい自分に生まれ変わる軌跡をたどる物語ではないか。

どこまでが現実で、どこからが非現実なのかわからないところが、この物語の一番の特徴だ。非現実というのは、それが想像なのか幻覚なのか、あるいはもうひとつの現実なのか確かめようもないということである。そんな現実と非現実の境目が曖昧ではっきりしないところに、わたしたちは戸惑い、不安さえ抱いてしまう。いくらでも解釈の余地のある作品だ。

いずれにせよ、サラは別荘でジュリーなる存在に出会い、いくつかの出来事をくぐり抜けた。それはサラが新しい自分へ生まれ変わるために必要なものだったのだと言えるだろう。サラにとってはすべてが現実だったのだ。

だからこそ、サラは新しい自分へと変身を遂げ、作家としても新しい地平に向けて第一歩を踏み出すことができた。プールサイドでの出来事をくぐり抜けることで、古いサラは死に、新しいサラに生まれ変わった。その意味で、この物語は死と再生の物語だと言えるだろう。