ルイ11世の治世。
祭りのさなか、盗賊の首領の娘エスメラルダは騎士フォーブスと出会い、瞬く間に恋に落ちる。
前からエスメラルダを狙っていたクロウド大司祭の弟ジハンは、ノートルダム寺院に住む醜い男カジモドを利用してエスメラルダを自分のものにしようと画策する。
何度も映画化されてディズニー版もつくられた、ヴィクトル・ユゴー原作『ノートルダム・ド・パリ』の初映画化作品。
1923年製作のサイレント映画です。
主演は怪奇映画界では伝説的な大スターのロン・チェイニー。
ノートルダム寺院に棲む醜い男・・・こんな設定を聞いただけでワクワクする。
まずは原作本から読みたかったのだが、これが意外と見つからない。
アマゾンで探しても、新本で手に入るのはユゴー全集の高価なものしかないようだ。
邦題に「せむし男」なんていうちょっと乱暴な言葉がタイトリングされているからかな。
「ちびくろサンボ」みたいな状況になってしまっているのだろうか。
ちょっと残念。
しょうがないのでWikiであらすじだけ簡単に予習だけしましたが、映画ではけっこう改変されてるみたいです。
内容はホラーっぽくなく、ああ無情の原作者らしい社会派群像劇だったのがちょっと驚き。
無声映画はすべてがホラーに見えるし、ロン・チェイニーのカジモドのメイクは今じゃ許されないほどの怪奇さ加減。
あの姿形とんでもないな。
顔の凹凸も、奇形ゆえの歩き方も、醜い者の表情も。
カジモドの顔のメイクどうやってるんだまじで。
戦前の作品とか信じられない…。
『オペラ座の怪人』といい、ロン・チェイニーはマジでスゴい。
また、この時代のサイレント映画ならではの“巨大な実物大ノートルダム大聖堂セット”や大観衆のエキストラからなるモブシーンは、CG誤魔化し無しの本物の迫力を出している。
お話のほうは、字幕だけではなかなか解りにくいところもありますが、しっかり観ていると理解できてくると思います。
ちなみに、この作品の監督は、これまでロン・チェイニーと多くの作品でコンビを組んでいたトッド・ブラウニングが担当する予定だったが、ブラウニングが酒に溺れていたために変更になったという。