わたがし

ヒックとドラゴンのわたがしのレビュー・感想・評価

ヒックとドラゴン(2010年製作の映画)
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 10代の頃から狂ったように観返してきた大好き映画。あらためてじっくり通しで観た。何回観たって非の打ちどころのない完全完璧な映画。感情の糸が途切れる瞬間が一瞬もない。ずっとエモーショナル。飛行ショットの映画的快感とアトラクション的快感の絶妙なバランス。良すぎて吐きそうになるサントラ。いつかIMAX3Dで観たいなあ
 ヒックとトゥースの境遇と葛藤が同じで、繋がるべくして繋がったんだという運命性が少しずつドラマチックに描かれていく話運びが涙腺ブチ壊し。出逢った瞬間にわからせるのではなく、後から少しずつ。こういうのをドラマと言う。終盤、トゥースの脅威と対峙することで親父の有害な男らしさも解きほぐしていく。いい話すぎる。こんないい話ある?
 今観ると親父の描き方も芸が細かくて泣ける。村をまとめあげて統一させるために払った代償がちょっとした表情から感じられる。露骨に嫌に描かないところがいい。だから最後にヒックが「バイキング」としてのアイデンティティを確立させていくのも感動する。わからないものを拒絶し攻撃するのではなくわかろうとするということ。ドラゴンに対しても親子に対しても。そうすると自ずといい集団関係は築ける。誰もいじめなくても人は団結できる。こうして文章書きながら考えるとすごい密度のメッセージの詰まった技巧的な脚本なのにピクサー的嫌らしさがないのはなんでなんだろう。
 メイキングも本編と共に観返すとスタッフが3D上映前提で3Dメガネかけながらラフ映像チェックしてた。時期的に『アバター』の立体演出の影響はないはずで『モンスターVSエイリアン』の3Dムーブメントの続きでやってるとしたら、この映画の3Dも比較的立体視差強めの飛び出し系だったんだろうか(公開当時3Dで観たけどその辺の記憶なし)
 何てったって最後のトゥースの千切れた羽に対するヒックの身体的決着のシーン、何度観たってボロ泣きする。『リロ・アンド・スティッチ』の監督が『シュレック』の会社でこれをやるということの尊さに胸がいっぱいになる。何回観てもクリス・サンダースはこんないい映画作るのに人相が悪くてかわいい

※追記
 ユニバーサルがディーン・デュボア監督・脚本で実写版の準備してるの今知った。オリジナル監督がそのままスライドで実写もやるのすごすぎる。楽しみな映画がまたひとつ増えた。
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