海老

ヒックとドラゴンの海老のレビュー・感想・評価

ヒックとドラゴン(2010年製作の映画)
4.3
2のほうを先に書いた上で、こちらを記録することにしました。決して2も悪くはないのですが、こちらの作品がとても好きだったものですから。

王道な子供向けファンタジーを娘と観たいな、と思って、何気なくチョイスしたんです。それがとっても面白かったもんだから驚き。子供より僕のが真剣に観てたんじゃないの?ってくらい。

ドリームワークスのアニメ作品のなかで僕はこの物語が一番好きです。

奇をてらう話ではないと思いますよ。期待通りに王道でした。いや、「期待以上に王道」と言えばいいのか。主題となるコンセプト、ストーリーテリングが綺麗に構築されていると、こんなにも惹かれるのか、と思わされた作品です。

邦題のほうがそのものズバリ。
ヒックとトゥースではなく、ヒックとドラゴンっていうのがいいですね。
周囲に軟弱もの扱いされていた少年ヒックが、畏怖されるドラゴンという種族との、種を超えた友情を築き上げるストーリーです。

種を超えた友情。
王道ですね。古今東西できるくらいコスられまくってるテーマとも言える。

それなのに、どういうわけか既視感を感じない。描くべき部分が満足に描かれていると、どこかで観たとか聞いたとか、些末なことは置き去りになるのかもしれません。

その描くべき部分というのが、
一人の少年が信念と友情を貫き通すことだったと思います。

周囲に奇異な目で見られようとも流されることがなかったヒック。彼の何倍も太い腕を持つ父親も、彼の抱いた信念を曲げることは出来ず、最も腕っ節の弱かったヒックが、実は一番強いのだから面白い。だからこそ、ドラゴンの人間に対する警戒を溶かし、頑なにドラゴンを排除しようとする村人の考えさえも転換させた。
種と種の関係さえも変えてしまうほどに、豪快で爽快なストーリー。ヒックが己が道を貫き続けることにのみ丁寧に没入した構成なので、いつまでも集中していられる。

とりわけ、最初は人間に対する不信感しかなかったトゥースがだんだんとヒックに心を開く様は本当に丁寧で、何日もかけて、ようやく二人が力をあわせて飛翔していくのは感激でした。
ヒックの信念が仲間を動かし、人間とドラゴンが歩み寄るクライマックスも最高。だからヒックと「ドラゴン」なんだなと解釈したワンシーンです。

特筆して語りたくなるようなシーンは沢山あるのですが、兎角一貫して完成している素晴らしい作品です。

マダガスカルやシュレックやボスベビーもいいんですけど、僕はこの作品をイチオシします。
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