えいがうるふ

幼獣マメシバのえいがうるふのレビュー・感想・評価

幼獣マメシバ(2009年製作の映画)
3.6
もともとは豆柴目当てで観たのに犬はむしろおまけだった。いや確かにめっぽう愛らしい子犬なのだが、主人公の珍獣みの方がインパクト強すぎて完全に食われていた笑
そんな二朗さんのあざといまでに作り込んだ挙動不審キャラがじわじわくる。話の展開はほぼ完全なるファンタジー、というかほとんどコントなのだが、ギリ愛せるストーリー。

昔観た時は、なるほど動物をダシにした子供部屋おじさんの親離れ物語かー、と思ったものだが、自分自身が子育てから卒業しつつある今あらためて観てみると、むしろ親の子離れ物語にも思えてなかなか感慨深いものがあった。

息子のあまりの不甲斐なさに、このままではいつまでたっても子育てを「あがり」に出来ないという親としての焦りがあったからこそ、あれほどまでに思い切ったプロジェクトを立ち上げる決意に至ったのかも知れない。そのバカバカしいほどの回りくどさに、まさにこの親にしてこの子ありだったのでは・・と苦笑してしまうが、それでもそこに悲壮感がまるでなく、一種の終活のように楽しんでいる様子が微笑ましかった。
そして、見事目標達成したかと思ったら即、さらに思い切った次の行動に出る母親のバイタリティに感動。願わくば私もあんなふうにいつまでも逞しく我が道を行く行動力溢れる母ちゃんでありたい。

途中で出てくる安達祐実の家庭の食卓シーン、情報量の多さに思わず吹き出した。特に石野真子がいい味出してた。