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ブギーナイツのkomoririririのレビュー・感想・評価

ブギーナイツ(1997年製作の映画)
5.0
何の取り柄もない17歳の少年が最強のイチモツだけでスターにのし上がるポルノ業界物語。
さすがP.T.A監督すごい。。笑った。深い。脚本も映像もよく練られた傑作。

70年代、まだポルノはロマンでフィルム娯楽作品だと劇中のポルノ監督は言う。
エンターテイメント、セックス、お金、ドラッグ、仲間。
戦後、資本国として突っ走ったアメリカの幸せがたくさんつまってる。
けれどポルノは素人を使ったビデオドキュメンタリーになるべき、ビデオへ意向し回転率をあげようと警告する商売人。
…それってポルノに限らず、ネットができてからマスとパーソナルをわける今の映像業界の姿!
1人の男の栄枯衰退を通して、メディアの時代転換をみせるお話でもあった。

ポルノ撮影現場やパーティ、ワンカット長回しにこだわったシーン達は圧巻。フィクションの裏側は見ちゃいけないからかな?マグノリアよりも断然空気の生々しさを感じる。
その群像があるからこそ、か弱き主人公が、ひとりトイレに篭って「おれはスター…おれはスター…お前らをイかせてやる…」って鏡に向かって鼓舞する姿が愛おしい。

男優から足洗って、オーディオ販売するドンチードル泣かせるよ。。
体張ったジュリアンムーアとローラーガールのイカれた会話も最高。
俳優も制作者も全員がひとつの夢を追って、ぶっ壊れてもまた同じ家に戻ってきて同じ夢をみる。血は繋がらないのに、こんな愛に溢れた家族みたことない。

この映画以降の時代が飽和した今、ポルノもテレビも音楽も広告も出版も大きく変わった。夢も人も消費されていく。
永遠の大スターなんていない。
それは悪いことでは無い気がするし、その時代の先人達の葛藤が、人間賛美として記録されてけばいいと思う。
だから観終わった後に、映画だけはずっと映画のままだと感じさせられて、すこし幸せな気分になった。

調理場でバイトする少年に、通りかかったおっさんが「お前の股間には宝が眠っているぞ」とスカウトする冒頭からは、想像もつかないくらいの良い映画
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