荒野の狼

カミカゼ野郎 真昼の決斗の荒野の狼のレビュー・感想・評価

カミカゼ野郎 真昼の決斗(1966年製作の映画)
3.0
『カミカゼ野郎 真昼の決斗』は、1966年の日本・台湾合作映画。私は2025年に、台湾旅行をしたが、本作は台湾の観光地が協力しているとのことで、ロケ地に興味があったため本作を鑑賞。ロケ地は台湾の南北に渡っているようで、私が訪れた地でも、高雄の六合夜市や台北の艋舺龍山寺などが支援したとあるが、両地とも現在はきらびやかで大都会にある観光地になっており、本作では確認ができなかった(おそらく変貌が激しいため)。

本作にユニークなのは台湾の少数民族(本作では高砂族と呼称)の人々が伝統的衣装で登場すること。本作では日本人の味方のように言及されているが、歴史的には日本統治下の皇民化政策や、戦後の高砂義勇隊に関する裁判などあり、日本との関係は複雑。

90分の作品であるが、本来は緊張感のあるアクションシーンであるカーチェイス、台中の日月潭でのモータボートを使った激突、最終盤の地獄谷での銃撃戦、台北松山空港でのセスナ機の格闘のいずれも工夫がなく冗漫になっており、飽きがきてしまう展開。ちなみに、本作では、日月潭から地獄谷まで、車で数分で到着したような描き方であるが、「地獄谷」がどこにあるかはあきらかにされていない。台北の新北投温泉の「地熱谷」は「地獄谷」とも呼ばれているので、同地ではないかと思われる。そうであるとすれば、日月潭からは車で3時間30ほどの距離となる。本作のクライマックスでは、舞台は地獄谷から台北松山空港に移るが、この間は車で30分なので、違和感はない。

後年の千葉真一の空手アクションも、本作ではほんの数分でキックや投げのキレも今一つ。千葉は1939年生まれなので公開当時は27歳で若々しく、本作ではよく走っているイメージ。

共演の高倉健は1931年生まれなので35歳で、登場したシーンから存在感は圧倒的で、千葉を助ける役柄であるが、銃でのアクションも決まっており、出演場面が多かったら千葉を喰ってしまったであろうカッコ良さ。

出演時間は1分ほどであったがユニークであったのは、店の客引き役の張英武で、台湾でもっとも高身長であった人物。身長は220㎝以上であり、巨人症のため265㎝にもなったと言われる。千葉との絡みでも、その大きさは本物。映画公開当時は、1921年生まれの45歳で、画面上はもっと高齢に見える。本作で千葉との本格的な格闘シーンがないのは惜しい。
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