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ときめきに死すのnoritakamのレビュー・感想・評価

ときめきに死す(1984年製作の映画)
4.7
最好映画。003「ときめきに死す」1984年。
「涼しいですか?」というセリフが最後に効きまくる、森田芳光監督作品。
「のようなもの」「家族ゲーム」よりも好きです。
シンプルな記号をそこら中に散りばめて、仕立ては涼やかなトーンとカメラワーク。音楽もこれまたシンプルで、主題曲がずっと続いていく感じが心地よいです。お話は殺し屋らしい沢田研二さんとそれをケアしているらしい杉浦直樹さんの奇妙な共同生活を中心に、だんだん見えてくるターゲットと、その生活に入り込む樋口可南子さんが入り混じる、サスペンス風味のドラマ。
急な左右反転とか、斜めのアングルとか、今観ると、ああ80年代という気もしますが、クルマに乗る3人を捉えたセリフのない長い移動ショットは本当に素晴らしいです。
今ならロシアンアームだとかドローンで実現できることをオリジナルのリグ(角材とジブアームに見えましたが)で実現した前田米造カメラマンチームの発想、最高です。イメージフォーラムの1984年3月号(古本屋さんですごい探しました笑)に特集された製作ノートを読むと当時大規模と呼ばれた撮影がかなり少人数で成し遂げられていたことがよくわかります。シンプルな衣装、迷路のような家のセット、まっすぐな北の道(北海道ですね)、静かに喋る演技陣、90年代初頭にものすごく流行ったブルーグリーン調の映像は「涼しいですか?」にすべて奏功していて、アナログだとかデジタルだとかいう以前に、それを透徹する監督と技術チーム、演技チームがこのお話に惚れてるんだろうなーって思えてステキです。
http://www.imdb.com/title/tt0190075/
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