ねぎおSTOPWAR

ときめきに死すのねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

ときめきに死す(1984年製作の映画)
3.9
ジュリー・・・って言っちゃうとおっさん??
いや通じちゃう??
ジュリーって日本で言うと、それって沢田研二さんのこと言うんですけど・・えっ?「沢田研二って誰?」だって?・・うぅ。
タイガース(阪神じゃありません、念のため)時代から日本の芸能をリードした、ある意味日本のデヴィット・ボウイみたいな人ですかね。

で、この映画を支えるのは彼、ジュリーの存在感ですよねー。
なんか車運転出来なかったり、いきなりフルーツ食べたり、急に「殺すぞ」って言ってみたり、その《異常さ》は沢田研二さんしか出せません!
また魔性っぷり全開の若き樋口可南子さん!
妙なところで岸部一徳さんって言うのもね、笑っちゃいました!

********

そもそもこれ森田芳光さんの監督作品。
若くしてお亡くなりになりましたけど日本映画にこの人ありという監督さん。好きなのはこの作品と「それから」と「家族ゲーム」で、それ以外は実はあんまり・・・。

森田さんは実は日本映画の歴史で言うと断絶していると思っていて、黒澤さんや小津さんや溝口さんやの流れというかその土壌の上にはいない人だと思います。だから2020年現在の日本映画界の状況がなんか連続した中にいないのは、実はこの頃、良くも悪くもテレビ的な角川映画の存在が大きかったのではないかという気にもなるんですけどね。
その角川映画と共にあったのは森田さん。

この作品は面白いですよ!
どうやらジュリーは暗殺者。「で、あれってなんだったの?」みたいな人やらたくさんいます!笑
でも今観ても(それなりに)面白い!
とりわけ後半の、杉浦さんと樋口さんとジュリーが乗った車の周囲360度をカメラがグルリと回ってくる撮影!!サム・メンデスもびっくり!ヒッチコックも羨ましがる画ですよね。
CGなんてないんだもん。
なんらかの仕組みを作って撮っている。
森田さんも自分のスタッフを称賛していたのでね、アナログなやり方。
映り込みやいろいろ考えると、車の屋根部分に軸を置いて200kgくらい乗ってくるりと回っても大丈夫な装置。プロペラのようなイメージで、回るものの下部はボンネットすれすれにぶつからない高さ。・・とか?
ジュリーの横通る時にカメラの上のライトの反射が映り込んでいる。太陽はその後正面から差し込んでいる(偶然らしい)のでね。
カメラがずっと避けているのは屋根の上だから、そこに仕掛けがあるんだろうなあ。
いずれにしろすっごいなあ!

あとは初めて3人で食事してる画の、なんて奇怪な切り返し。窓の向こうの屋上にはずっと殴り合いする人たちがいて、手前には意図的に位置を変えている三人。三人の関係性は変わらずにただ、窓に対しての位置を180度回している・・・なんで??笑

そしてね、杉浦さん、さっきは右ハンドルだったのに、なぜか左ハンドルの描写。「えっ?」っと思っていると、車のナンバーが表裏逆転している!!??
何故か部分的に映像を反転させてます。

まあ一言で言えばシュール。

あっそうだ!
森田さんって「椿三十郎」のリメイク撮っていますが、三十郎以来初です!あの人体の不思議!!!笑