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上を向いて歩こうのtunicのレビュー・感想・評価

上を向いて歩こう(1962年製作の映画)
4.5
ブレッソンも呆れそうな雑でスピーディな少年たちによる集団脱獄。病院からトンズラした浜やんはジャズ喫茶のバンドボーイに、保護司の芦田伸介に雇われた九ちゃんはトラックドライバーに。憧れのドラマーだった梅野さんは今は落ちぶれていてポン中だし、高橋英樹んとこのノミ屋のチンピラに絡まれるしで散々な目にあう浜やん。一方で九ちゃんが働く運送会社には意地悪な先輩もいるし少年院よりも厳しそうだけれど、足の悪い渡辺トモコや小百合と仲良くなったり、仕事も覚えるようになったりとそんなに待遇は悪くない。上を向いて自分の人生を歩きはじめた九ちゃんと、運が悪いうえ頭も悪いから絶対そっち行っちゃダメってなほうばかり選んでしまう浜やんの対比が悲しい。高橋英樹の汚れた血エピソードも辛いし家族から疎まれてるのに無邪気にパーティに誘う小百合がほんとにくらしい。よかれと思って傷口に塩を塗る一番タチ悪いやつ。これ以上取返しがつかないところまでいがみ合った少年たちだけれど、突然我に返って仲直り。挙句の果てにピカピカの国立競技場でノミ屋チームも運送屋チームもみんなで上を向いて歩こうよと合唱。夜学に合格した高橋英樹やら田舎で牛の乳しぼりしてる梅野さんなど更生したメンバーのその後と一緒に、さまざまな現場で働く労働者&スポーツ選手を写し出す。なんでここで労働賛歌とオリンピック賛歌を合体させてんの。九ちゃんたちと一緒に朗らかに歌ってる柳瀬さんとかいったいどんな気持ちでここにいるんだろう…とか余計な想像してしまった。無理やりタイアップといえば、運送屋チームが寮のおやつで食べてるみずほ焼のおせんべい気になる。魚河岸で新車を買ってもらって喜ぶ九ちゃんをワーッと取り囲むときも手にしていたみずほ焼のパッケージ、調べてもわかりませんでした。
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