KnightsofOdessa

女の一生のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

女の一生(1958年製作の映画)
4.5
[鬼畜夫が支配する斜めの構図]

大傑作。これは凄すぎ。二人の女性が砂浜に向かって走っていったり、片方が海に落ちて溺れかけたり、まるで『燃ゆる女の肖像』みたいなシーンが冒頭にあって驚く。そんな溺れかけた純情乙女ジャンヌは助けてくれたパリ帰りの青年と恋に落ちてすぐに結婚する。しかし、夫は新婚なのに家を開けまくり、ジャンヌ幼馴染で女中のロザリーに手を出して妊娠させ、友人の新妻とも不倫をしてとやりたい放題。ジャンヌといるときは出会った瞬間から死ぬ瞬間までニコリともしない鬼畜っぷり。二人の距離感は人を端に追いやって空白を作る画面にも現れている。結婚式の日ですら二人が抱き合うのは画面端で、ジャンヌ被る白いベールが画面真ん中で風に弄ばれるのが印象的。このシーンを含めて、背の高いクリスチャン・マルカンが画面端で女性陣を見下ろすことで、画面を斜めに切る視線が出来上がるの凄い。視線以外のモチーフも斜めを意識して配置され、基本的に画面の斜め下半分が何かに占領され、斜め上半分が空白という構図をずっと続ける。ずっと不思議で不穏な画面。あと、ジャンヌが夫とロザリーの不倫を知ったシーンでの階段降り→階段裏に隠れてたロザリーが後を追って二人で外に出るカメラのヌルヌル具合が好き。
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