ゆきまる

八日目の蝉のゆきまるのレビュー・感想・評価

八日目の蝉(2011年製作の映画)
4.3
母親の無償の愛に号泣。レビュー書きながらまた思い出して泣いてる(笑)

父親の不倫相手に誘拐され、4歳まで育てられた恵里菜。幼かった恵里菜にとって誘拐事件は記憶の彼方に消え去るが、実の母親の心には暗い影を落とし、彼女は崩壊した家庭で育つ。ある日、記者と名乗る女性、千草に出会い、失われた記憶をとりもどすことになる。

インパクトの強い序盤の、希和子の法廷での独白シーン。ここで希和子は犯した罪への反省の色を見せないどころか、恵里菜の実の両親に礼を述べる。この理由こそが作品全編を通してゆっくりと明らかになっていくというプロット。希和子は、産めなかった我が子と恵里菜を重ね合わせ、薫と名付け、母親になる決意をし、逃亡生活を送る。決して許される行動ではないはずが、希和子の薫に対しての慈愛に満ちた表情と、母としての強い責任感に倫理が揺さぶられる。特に小豆島に移ってからの、穏やかで平和な毎日はずっと続けば良いのにと願わずにはいられなかった。警察の手が伸び、希和子が身柄拘束されるとき、涙ながらに、薫になにか食べさせてやってくださいと警察に頼む姿に涙腺崩壊。

時が経って、千草と小豆島を訪れた恵里菜は、突如フラッシュバックに襲われる。記憶を頼りに地元の写真館に入ると、幼かった自分と希和子の写真を差し出される。そこに写っていたのは、誘拐犯ではなく、無償の愛を注いでくれた母の姿だった。思わず写真館の外に駆け出し、涙を流す恵里菜の姿に、激しく胸をつかれ、またもや涙が止まらなかった。


サスペンスと愛を織り交ぜた物語構成が非常にうまい。

井上真央、永作博美、小池栄子の迫真の演技が胸に迫り、本当に素晴らしい。
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