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八日目の蝉のamuのレビュー・感想・評価

八日目の蝉(2011年製作の映画)
4.0
「人のセックスを笑うな」で、永作博美さんの虜になってしまった私は、永作さんの出演作品、演技見たさに鑑賞。原作は未読。重たいテーマにすっかり弱腰であったが、期待以上にまたその魅力に触れることが出来た。

妻子ある人と愛人関係であり、ご夫婦の産まれたばかりの子供を誘拐する、という法的には完全に悪であるにも関わらず、そうするに至った経緯、その心情を考えると納得も共感もしてしまうし、このままずっと見つからず、本物の親子として二人幸せな一生を送って欲しいと願わずにはいられなかった。

善悪の視点を変えているせいなのか、永作さんから滲み出る愛の深さ、またその可愛らしさと魅力からか、もうどうしたって全面的に誘拐犯である愛人サイドの味方になってしまった。都合のいい事を言って自分の欲望と保身しか考えていない男と、夫に愛人がいたためなのか元来こういうヒスな性格なのではと思え、そりゃあ外に好きな女も出来るわと思わせる女、この夫婦がそもそもどうかしていると思う。が、実の母親にしたらこれ以上無い不幸であり、いたたまれなさがあったのは確か。

何気にカオルを最後に連れていく女警官が吉田羊なところに、イラッとした(笑)あそこは無名な役者でいいだろう。作中、多少中だるみを感じたのは、個人的にもっと永作さん親子の愛おしい風景を見守りたかったからかもしれない。
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