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八日目の蝉のaozoraのレビュー・感想・評価

八日目の蝉(2011年製作の映画)
4.5
希和子演じる(永作博美)の体当たりの演技に、目が離せなくなる。

希和子のやったことは、罪だし、どれだけ誘拐された夫婦、子供に深い傷を与えるか…絶対あってはいけません。

って、言ってしまえば、元もこもないのだけど、希和子の裁判での態度や、言ったこと、ここでも母親を、貫いている。謝罪しないのも、かおるとの事を否定したくない、かおるに悪い事をした、だから、少しでも罪を、重くと願う親心としか、わたしには、思えなかった。
だから、"感謝"と、言ったのだ。

ママだと、思っていた人が"誘拐犯"だったと、大人の都合で人生を翻弄された、かおる(井上真央)

人って、傷ついた記憶って、細かく鮮明に残る。それ故思い出したくないと、蓋をしたり、傷つくのを怖がったり、だから、人が信用出来なくなったり、何事にも冷めて心を抑えたり、好きとか愛する気持ちがわからなかったり、子供の頃に受けた傷は、その後の人格形成に、いかに影響するのか…

愛された幸せだった記憶もきっとあるはずなのに、あまりに傷が深いと、いつも根底にそれがあり、幸せな記憶が、どっかに飛んでっちゃう。一生懸命思い出しても、自力では、せいぜい4歳まで、そんな繊細な人物を井上真央が熱演している。
かおるも、不倫で子供を妊娠。
親と同じ道をいく。それって、現実にもよくある話。血なのかな…

でもかおるは、千草(小池栄子)に出会い「あんたは、何も悪くないじゃない」と、言われ少しずつ心を開いていく。
希和子と過ごした場所を旅してみることに(千草)が居なければ絶対無かったかも。

そして、希和子
今日1日、明日1日かおると一緒にいれますように…とギリギリの状況で、精一杯母親をした。

それが、最後の1年間過ごした小豆島。かおるは、ここで、少しずつ思い出が湧き出てくる。

長いですね、すみませんw
わたしは、八日目の蝉の時間がここにあった。そうして、それに気付いたことで、かおるは前に進める。愛された記憶がしっかりとあることで、人って、立ち上がれるんだと、この映画で教えてもらいました。

観てよかった。
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