三郎丸

イレイザーヘッドの三郎丸のレビュー・感想・評価

イレイザーヘッド(1976年製作の映画)
3.4
バレンタインデーに寂しく過ごしちゃってるアナタに是非オススメしたい作品!
【エッジがゴリゴリに効いてるカルト映画】
では言い足りない…デヴィッド・リンチが完全に鑑賞者をブッチのギリで置き去りにした作品!
間違っても、ストーリーの辻褄や理屈などを考えながら
見ちゃいけません。というかそもそもそういう映画として作ってないと思われます…
【リンチ監督の心の闇をひたすら覗いてる】
という、正直
「なんちゅうモノ見せてくれんだ!」
な映像の数々…

ストーリーは、
フィラデルフィアの工業地帯で働く印刷屋の職工ヘンリー(ジャック・ナンス)は、ガールフレンドのメアリー(シャーロット・スチュワート)から子どもを妊娠したことを告げられる。
しかし、生まれてきた赤子は恐ろしい姿で、夜な夜な異様な泣き声で彼らを苦しめる。(完全に赤子の泣き声ではない…)
やがて、生活に耐えられなくなったメアリーは家を飛び出してしまい、残された主人公は…

今作のカナメは、
奇形の赤子!コレに尽きます…
もう、この姿が終始一貫エグいのなんのって…
鳥類等の赤ちゃんをヒントに持ってきたのか、一体ナンなんでしょ、あのタダならぬ原材料は!(何かしらの臓物のホンモノ使ってんじゃないかというクオリティですよ…低予算な割に妙にリアル!汗)
今作後半戦を鑑賞しながら、
「ヨッシャ…しばらくは行きつけの鳥貴族やら鳥肉料理とは…距離を置こう!」
と決意してしまうくらいなグロがあります…
(何を決意してんだって話ですが、そのぐらいなインパクト映像…)

モノクロ映画が独特な雰囲気の作品に味付けし、序盤から
【静寂】
が、鑑賞者をとにかく不安にさせます。
「えっと、観るの止めよっかな…」
ってすぐ直感的に思うくらい、これから先何が起こるのか見当もつかない、また、何が起こっても全くおかしくない、先が読めない深い恐怖がこの作品にはあります。
見終えて、それがこの作品の【売り】なのかと感じました。
全編を通し、なんとも言えない焦燥感と不快感に
満ちている。そして、その世界に叩き落とされたような感覚。
登場人物もみんななにかしら狂っている。特に
・ラジエーターから唐突に登場するフタコブの頬を持つ女(終始目がトんでます)
・ガールフレンドの父親の張り付いた笑顔
悪夢として夢に出ますよ!どっからこんな俳優さん連れてきたんだよコエーなー…

ストーリーを置き去りに、ここまで徹底して鑑賞者を不安と嫌悪感に陥れることができる作品を作り上げれるって言うのは才能なのかなー…普通は、どこか妥協してマイルドに仕上げると思うのですが、完全に振り切っちゃってますからね…

見終えて、リンチ監督の心の闇を感じるのと同時に、何となく自分の心の闇を感じる事ができる不思議な(まずグロいがあっての!)映画でした。

てことで是非カップルで観てね!(ウソです)
三郎丸

三郎丸