コミヤ

イレイザーヘッドのコミヤのレビュー・感想・評価

イレイザーヘッド(1976年製作の映画)
4.5
「デビッドリンチ アートライフ」観てからずっと観たかった本作。近所のTSUTAYAでは何処も取り扱ってなかったけどアップリンクで「アートライフ」に合わせデビットリンチ特集をしてたので遂に鑑賞。

事前に「アートライフ」を鑑賞した事もあって最高に面白かった。
一見するとただの意味不明な映画。誰一人としてまともではない登場人物、血を流す鳥の丸焼き、手足の無いグロテスクな赤ちゃん、笑顔で踊る両頬にコブのある女、何処か遠い惑星で何かのレバーを引く男。
でも全ての発想の源は過去にある、という「アートライフ」での彼の発言を元に解釈すればこの映画が描こうとしてるものが何となく分かる気がする。

要は結婚、そして子育てにまつわる普遍的な悩みを描こうとしているのだと思った。相手両親の家での食事、泣き止まない赤ちゃん、諸々のストレスからすれ違いになる夫婦など監督本人が感じたであろう結婚後の日常的な悩みを敢えて難解且つグロテスクに描き、そして彼が当時抱いていた願望をストーブの中に見える劇場でのコブ女のステージとして表現しているのだと思う。この"劇場"というのはリンチ作品に何度も出るけど彼の映画においてそれは日常からの救済という意味を持っているのではないでしょうか。(救済といってもその内容はかなり残酷)

「アートライフ」の中でも言ってたけど監督が自分の思うままに芸術を楽しんでいたという事が強く伝わる作品。
コミヤ

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