優しいアロエ

イレイザーヘッドの優しいアロエのレビュー・感想・評価

イレイザーヘッド(1976年製作の映画)
4.2
〈雑音と白煙に満ちた悪夢の世界〉

 『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』から“妊娠させちゃった繋がり”でデヴィッド・リンチのフィルモグラフィーに飛んでみる。
——————

 いかにもインディーズ映画らしい偽物まがいの小さな空間に、禍々しい空気が充満する。フィラデルフィアの工業地帯が舞台であるため、白煙が闇に映え、機械の軋む音が延々聞こえてくる。これらもまた悪夢世界の構築に加担しているだろう。

 男性版『ローズマリーの赤ちゃん』みたいな話だなと観ていたが、実際、デヴィッド・リンチのトラウマ体験が元になっているのだとか。(フィラデルフィアが舞台なのもここから)

 あと、『エレファント・マン』でもそうだったが、リンチワールドの住人は、異様な姿をした人間に対して(物理的にも心理的にも)接触することをあまり厭わないのが気になる。攻撃的な態度を示すことはあっても、距離を置いたり避けようとしたりはしないのだ。そこはあまり実感の湧かない反応ではある。
優しいアロエ

優しいアロエ