DcatcHerK

キングダム見えざる敵のDcatcHerKのレビュー・感想・評価

キングダム見えざる敵(2007年製作の映画)
4.2
 たぶん、ずいぶん前に映画館で観たのだけれど、Amazonプライム・ビデオで観られるというので早速鑑賞。
 サウジアラビアの首都リヤドの外国人居住区で自爆テロ事件が発生、集結していたFBI捜査官や医療関係者が狙われ、二度目の爆破で死者100人以上、負傷者も200人以上の大惨事となる。
 テロ事件の悲惨さ、無慈悲さ、連鎖を、スピード感と緊迫感で見事に伝えている。
 アメリカとサウジアラビアの複雑な関係性、ジェイミー・フォックスさん演じるFBI捜査官ロナルド・フルーリー、クリス・クーパーさん演じる爆発者専門家のサイクス、ジェイソン・ベイトマンさん演じる情報分析官のレビット、ジェニファー・ガーナーさん演じる法医学調査官のメイズらFBI捜査官たちの執念、そして彼らとアシュラフ・バルフムさん演じるサウジアラビア国家警察のアル・ガージー大佐との間にテロを憎む気持から芽生える絆、そして、テロ首謀者との戦闘。どれも観応えがある。
 前半は現場検証などから証拠を集め、犯人を追い詰める頭脳戦。そして、アジトに踏み込んでからの戦闘シーン。
 ジェイミー・フォックスさんの戦闘シーンはもちろん強烈なのだが、ジェニファー・ガーナーさん演じる法医学調査官のメイズの戦闘シーンが特に目を見張る。
 余談だが、彼女は、以前に観た「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」、「ドラフト・デイ」、「ダラス・バイヤーズクラブ」などにも出演しているそうで、さらにびっくりしたのは、ベン・アフレックさんの奥さん(今は離婚手続き保留中)だったこと。アメリカは男優も女優も多く、映画も多いので、こういうことと紐づけしないと、覚えられない。(笑)もう一度、3作を観た時に、気をつけて観たいと思う。
 さらに、2回目の爆弾で亡くなるFBI捜査官ロナルド・フルーリーの友人フランを演じるのは、カイル・チャンドラーさん。「マンチェスター・バイ・ザ・シー」でケイシー・アフレックさん演じるリー・チャンドラーの兄のジョー役(心臓発作で亡くなる)を演じていて、昨日観に行った「レプリカズ」の前に予告されていた「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」でも出ていたような。
 作品の話に戻すと、最後、テロ首謀者は殺されて、事件は収束したようにも見えたが、テロ首謀者が殺される際に、孫娘に伝えた言葉と、最初にFBIが捜査会議をした際に、ロナルド・フルーリーがメイズを慰めるためにメイズに伝えた言葉、その二つの言葉が、テロの限りない連鎖を作り出していることに繋がり、解決することのない、憎しみ合いが続くのだと落胆し、悲嘆にくれた。
 決して、「アメリカ万歳」の映画でもなく、そういうことをしっかり伝えている。ロナルド・フルーリーの最後のシーン、背中に言いようのない悲しみと虚無感を感じた。
 
 
DcatcHerK

DcatcHerK