Qちゃん

暗殺者の家のQちゃんのレビュー・感想・評価

暗殺者の家(1934年製作の映画)
3.9
ヒッチコックのイギリス時代制作の、のちに自身でリメイクする「知りすぎた男」のオリジナル。

あっちは完全にシリアスだったが、こっちはややコメディ基調で、シリアスな中に散りばめられたユーモアの雰囲気には「バルカン超特急」を感じた。このコメディのテイストはめっちゃ好き。

仲良くなったルイおじさんの選手人生最後のジャンプも、母親の宿敵との決勝戦も台無しにするKYすぎる娘の行動。いやお前ダメやろ。オリンピック出禁な!
しかしここにもちゃんと伏線あったという。。やるなヒッチコック!

そんでその娘の暴言。
ルイ「なんであいつが嫌いなの?」
娘「だって歯並びが立派すぎるし、頭もテカリすぎ!」
そしてテカる頭から始まるシークエンスw
その後も彼のトレドマークはポマード頭ww

嫉妬で面白くないパパのささやかな悪戯🧶

などなどを横目で見つつ、知り合いが殺されて娘を誘拐されて、散々な巻き込まれ方をするお約束のサスペンスが始まる。

でもそれも麻酔バトルやらヘンなおじさんやら椅子の投げ合いやらでずいぶんコミカル。ここには刃物もないんかい。笑

この時代はサイレンサーがないんだな、きっと。そっと暗殺すんのも一苦労だね。

そんで固定電話しかない時代のタイムリーな脅迫も大変だね。
「電話できたか?」
「出かけた後でした。。」
「……まあいい」

黒幕の男、白黒映画で小柄なのに、なんかオーラ違う!怖い!あれだ、「ブラックリスト」のレディントンっぽい!顔も言動も、ユーモアも、笑い方も、冷静さも、仲間に意外と愛情深いとこも!レイモンド・レディントン像、絶対これを参考にしてるって!!彼の名前みたいな味方もいるし!頭の中でレディントンの声で再生されるレベル。悪いやつやのに、困ったことにキャラだけですごい好き!(> <;) 私、基本的にはアニメ以外吹き替えは推奨しないんだが、オリジナルの彼は強めの訛りがあるのと、彼とパパのやり取りがすごいウィットに富んでるので、レディントンらしさを意識して観たいなら吹き替え版を強く推奨!!

サスペンスはいつも通り、なんで自分でやんねんな雑ストーリーだったり、銃撃が無駄に長々しくて緊張感途切れたりもするが、伏線回収のラストはいい感じ。

催眠術シーンや緊張でぼやけた視界からぬっと銃が出るシークエンスの見せ方の凝り方、ハラハラのニアミスがヒッチコックっぽい。

私が中古本で大事にしてるトリュフォーとヒッチコックの対話の中では、トリュフォーは「知りすぎた男の方がよくできてる」って言って、ヒッチコックは本作を「優秀なアマチュア作品、知りすぎた男はプロの作品」って言ってた。が、ごめん、私はコミカルさとキャラ勝ちで、「知りすぎた男」よりこっちが好きだ!!

ちなみにヒッチコックのカメオが33分ごろに右から左に行くトレンチコートの男ってことなんだが、画質悪すぎて判定無理!!多分これって人はいるが、確認不可!!
Qちゃん

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