1924年のサイレント映画。
音もない、色もない、盤によっては画質もよくない。作られた年を考えれば、当たり前だが古い映画である。
ですが、
この映画に描かれている内容は、まったく古びていない。
探偵に憧れる映写技師の青年が、夢か現か、上映中の映画の世界に入り込み、悪漢たち相手に大活劇を繰り広げるコメディ。
本当にバスター・キートンのアクションは凄い。オートバイの前方部分に乗っかったまんま、町を、村を、山を疾走する姿は爽快!!
そして、本作の白眉は特撮の凄さ。
現実世界の人間がスクリーンの中に入り込む……、ウディ・アレンが「カイロの紫のバラ」でやったようなこと(こちらは劇中のキャラが外に飛び出すのだが)を、さらにその何十年も前に作った映画人がいたのである。
それ以外にも、これ、どうやって撮ったんだろうと思うようなシーンが連続して登場する。
元々の邦題が「忍術キートン」だったのも納得。
その一方、この映画はどっか詩的でもある。
ラストシーンで、好きな女性を前にして(無表情のまんま)モジモジしているキートンの愛くるしさが良い。
そして、サゲ(落ち)がこれまた最高。あれだけでも+0.1点。