ほーりー

キートンの探偵学入門/忍術キートンのほーりーのレビュー・感想・評価

4.5
1924年のサイレント映画。

音もない、色もない、盤によっては画質もよくない。作られた年を考えれば、当たり前だが古い映画である。

ですが、

この映画に描かれている内容は、まったく古びていない。

探偵に憧れる映写技師の青年が、夢か現か、上映中の映画の世界に入り込み、悪漢たち相手に大活劇を繰り広げるコメディ。

本当にバスター・キートンのアクションは凄い。オートバイの前方部分に乗っかったまんま、町を、村を、山を疾走する姿は爽快!!

そして、本作の白眉は特撮の凄さ。

現実世界の人間がスクリーンの中に入り込む……、ウディ・アレンが「カイロの紫のバラ」でやったようなこと(こちらは劇中のキャラが外に飛び出すのだが)を、さらにその何十年も前に作った映画人がいたのである。

それ以外にも、これ、どうやって撮ったんだろうと思うようなシーンが連続して登場する。
元々の邦題が「忍術キートン」だったのも納得。

その一方、この映画はどっか詩的でもある。

ラストシーンで、好きな女性を前にして(無表情のまんま)モジモジしているキートンの愛くるしさが良い。

そして、サゲ(落ち)がこれまた最高。あれだけでも+0.1点。
ほーりー

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