マヒロ

ダンス・ウィズ・ウルブズのマヒロのレビュー・感想・評価

ダンス・ウィズ・ウルブズ(1990年製作の映画)
4.0
南北戦争の最中、北軍のダンバー中尉(ケヴィン・コスナー)は戦闘での功績を認められて勤務地を選ぶ権利を与えられ、失われつつあった西部の開拓地への赴任を希望する。やってきた砦は誰もおらず荒れ果てており、ダンバーは馬のシスコと砦付近を彷徨くオオカミと共に自給自足の生活を始める。そんなある日、近くで暮らすスー族の若者にシスコを盗まれそうになったことをキッカケに、スー族とダンバーの言語の壁を超えた交流が始まる……というお話。

ケヴィン・コスナーが自腹をはたいて製作したという肝入りの作品で、インディアンであるスー族と白人であるダンバーの文化間のギャップと、それを受け入れてお互いに認め合う様を丁寧に描いている。
いわゆる西部劇だが、先住民の人々を単なる異文化の者として遠ざけるのではなく、独自の文化を持つ歴とした人間として登場させており、それまでの西部劇で悪役にされがちだった先住民族について真摯に描こうという気概を感じた。白人目線で製作されただけに正しくない描写も結構あるらしいが、どちらかがどちらかの文化に染まるのではなく、お互いを尊重しながら歩み寄り良いところを吸収し合うという流れにコスナー監督の最大限のリスペクトを感じられる。
スー族の中に昔孤児となり拾われた白人の娘がおり、ダンバーと良い仲になる……というのはちょっと都合良い気もしたが、そこはご愛嬌。ただ、あえて恋愛要素を入れなくても成り立つ話だとは思うので、そこもハリウッド映画のお約束を破る意味でバッサリオミットしても良かったかな。

また、綺麗事だけで終わらずに、白人による侵略の結果起こる部族の終焉も示唆しており、一人の男の歩み寄りではどうにもならない儚さを感じさせられるラストが素晴らしかった。今の時代から見ると色々問題点はあると思われるが、バランス感覚に優れた良作だと思った。

(2022.170)
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