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穴のTSのレビュー・感想・評価

(1960年製作の映画)
4.4
【穴を掘り続ける囚人】92点
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監督:ジャック・ベッケル
製作国:フランス
ジャンル:サスペンス
収録時間:124分
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傑作すぎた。脱獄映画の中でも最高峰に位置づけられるかも。囚人5人がただただ穴を掘り脱獄をはかるだけの映画なのに釘付け。BGMも一切なし、穴を掘る騒音が鳴り響くだけの映画なのに何故ここまで面白いのでしょうか。単なる脱獄映画ではなく、人間の心理に重きを置いた映画とも言えそうです。

サンテ監獄に閉じ込められていた四人の囚人の部屋に1人の新人が入獄してくる。彼の名はガスパール。妻ともめてる最中に誤って発砲してしまい、計画殺人未遂の罪で入獄されたのだが。。

彼も仲間にいれつつ、5人で脱獄をしようとするもの。このあたりは脱獄映画の中でもごく平凡であり、目新しいものはありません。ところが今作の特徴はなんのひねりもなくただ穴を掘り続けるところにあります。昨今の脱獄映画ならば、あっけにとられてしまう程の緻密な計画をたてて、鑑賞者を驚かせます。ところが今作の計画といったら、多少ひねりはあるものの、シンプルに地面に穴をあけてシャバまで突破するというものなのです。で、この穴掘り、密かにやっていくのかと思いきや、思いっきり音を立てて遂行していきます。さすがにまわりの4人も、「おいおいやり過ぎだろ!」と言わんばかりの騒音。いくらまわりが仕事で騒音だらけといっても、これは堂々すぎる。この穴掘りだけの映像を8分ほど見せられるからまた凄まじい。ノーカットなのでガチの力を使って地面に穴をあけているのです。

そこからびっくりするほどうまく計画が進んでいきます。だからこそ、鑑賞者は不穏な気持ちになるのです。このまま単純に成功するはずがないと。。

今作は褒めても褒めたりないほどの魅力を持ち合わせていますが、素晴らしいのがなんといってもラスト。ラストのあのシーンは凍りつくとともに映画史に残る名シーンでしょう。人間の心理をついているところも素晴らしいです。シンプルイズベストとはこのことでしょうか。脱獄映画好きなら間違いなくハマる、後世の脱獄映画にも影響を与えたとされる今作をどうぞ鑑賞してみてください。
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