Gierck

穴のGierckのレビュー・感想・評価

(1960年製作の映画)
4.8
60年ジャック・ベッケル最後の作品。
これまでベッケルの映画に登場した可愛らしい女優たちは影を潜め、ほぼ全編男だらけの映画である。
ただこれまでのベッケル映画と全く違うかといえばそうではなく、ベッケルが好む手際よく作業をこなす描写がほぼ全編で登場する。
「怪盗ルパン」のルパン、「現金に手を出すな」のジャン・ギャバン、「モンパルナスの灯」の画商などいずれも手際よく作業するシーンが印象的であった。
本作を観るまで、我々はこれ程長い間「穴」を掘るという単純な作業のショットで観続けたことはなかったし、またそれがこれ程スリリングであったことはなかったはずである。
暗い下水管の中をランプの火のみが浮かび上がるショットは、女優たちの不在を忘れさせる程に美しい。
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