ぺん

赤い殺意のぺんのレビュー・感想・評価

赤い殺意(1964年製作の映画)
4.4
原作未読。鑑賞済みの今村作品では一番印象深いです。
煽り文がピンク映画みたいっすね、間違ってはいないけど…

妾の子として産まれ、旦那(籍は入れてもらえていない)と姑にいじめられ、いじけて暮らす主婦・貞子を春川ますみが演じている。
ある晩、押し入ってきた強盗に犯され自殺も考えるが死にきれず。
春川ますみのふくよかで朴訥とした雰囲気のせいか、切羽詰まった感じがなくて少しコミカル。
車を回し、そこから逃れられないネズミは彼女の暗喩なのだろうけど。

長年不倫している夫も、貞子に夢中になる強盗も、自己都合ばかり押し付けてくる奴らで腹立たしい。
そんな男たちにされるがままの貞子だったが徐々に自分の意志を固めて強かになっていく。
古い家父長制に縛られた時代、こういう反抗もあるんだな。
夫の不倫相手の眼鏡女性も気の毒だけど、貞子は結果的にそれすら利用する。
暗い突き放した話のようで、貞子が生に食らいついていく強さに清々しさまで感じた。

汽車の最後尾で揉み合う二人のシーンがアクション映画さながら。
艶かしいのにスピード感があってワンカットのアングルも迫力あるなぁ。
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