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赤い殺意のmiのレビュー・感想・評価

赤い殺意(1964年製作の映画)
4.5
めちゃくちゃ面白い。
なにあのふわふわ浮いて納屋に収まるシャツ。
汽車の撮り方が圧倒的レベチ。汽車の登場シーンの顔が恐ろしくも幻想的。
勇気を振り絞り一歩踏み出して乗り込んだその汽車は、人生を思わぬ方向へ運んでくれる。
一度降りたはずの路面電車をワンカットでUターンさせることによってあからさまに浮き彫りになる貞子の心情。とにかく汽車のシーンも路面電車のシーンもカット割が豊富で撮影チームの実力もレベチ。
にしたって改めて乗り物はさまざまな人生を運ぶものなのだと気付かされる。
アイロンに反射する顔。自らの業の深淵を覗き込んだような表情が焼きつく。
しかし一番恐ろしいのは狂言回しの役割を担いながらも執念の私立探偵と化す義子であり、目が悪い→執着の末に周りが見えなくなる→ドーン!の流れには笑いさえ起きる。

封建的な家族制度、男社会、それでも一人の人間として逞しくも哀しく生き続ける貞子の行動の全てはエネルギーに満ちている。
どよんとしたストーリーテリングではあるものの、物語の帰結のさせ方には爽快感すら覚える。ざまあみろ。

老人の入れ歯をパカパカ外す勝。
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