チッコーネ

フラッシュダンスのチッコーネのレビュー・感想・評価

フラッシュダンス(1983年製作の映画)
2.7
全体が編集で強くコントロールされた感のある、典型的アイドル映画。脚本は80年代版『キャバレー』といった趣だが、深みはなく人物描写も弱い。
しかし『ジーグフェルド・フォリーズ』からブレイクダンスまで続く「アメリカダンス文化の厚み」や人種問題、底辺のナイトクラブで芽生えるスタッフ間の交流、そして女性の自立などのサブテーマがさりげなく織り交ぜられており、ストリートの匂いも少なからず感じられる。
また照明や舞台美術の完成度は非常に高く、いくつかの場面は80年代米映画の代表と言えるほどの普遍性を湛えている。
男性によるダンス吹き替えはあまりにもあからさまで、観ているこちらがヒヤヒヤするほど。特にヒロインの白塗りダンスショウ場面は、図らずも「ダンスクオリティの高いドラァグショウ」として、映画史に刻まれた…(笑)。