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三月のライオンのyumeのレビュー・感想・評価

三月のライオン(1992年製作の映画)
4.6
午前4時半の夜明けの空。部屋が少しずつ白みはじめ、ぼんやりと机上の物の形が姿を見せ始める。窓を開ければ朝のにおいになっていて、もう一日がはじまっているんだなぁと思う。なんだかとても懐かしい気持ちになって、それと同時に胸がざわつき、透明な水の中に沈んでいくように、苦しくなる。そんな感じの冒頭。
邦画史上、自由奔放で、猫のように気ままで、最高にキュートなヒロイン。アイスのようにミニスカートと赤いピンヒールを履いて街に繰り出してみたいし、アイスのように真っ赤な唇をキメたい。そのくらい、私の理想の女の子像に革命をもたらしたの。
駄菓子屋の老夫婦と一緒に庭でご飯を食べたり、アイスが服を着たままシャワー中のハルオに抱きついたり、撮りためた写真を海に流すシーンなど、1カット1カット、フィルムカメラで撮影したみたいな印象的で素敵な色合いのシーンが沢山ある。そしてなんだか“触覚”を映像化しているみたいだなぁと思った。裸でベッドに入った時のひんやりとしたシーツが自分の体温に近付く感覚、裸足で冷蔵庫に触れた時の冷たい感覚。触ってもないのに温度が伝わってくるのが不思議。
氷の季節と花の季節の間の三月、きっと誰もがライオン、のち子羊になるんだって