ハレルヤ

やさしい嘘のハレルヤのレビュー・感想・評価

やさしい嘘(2003年製作の映画)
3.9
グルジアに住む主人公のエカおばあちゃん。日々の生活でパリに旅立った息子のオタールからの手紙が唯一の楽しみ。しかしある日オタールが事故死したという訃報が届き、同居する娘と孫娘の2人はおばあちゃんを悲しませないように嘘をつく事にする。その嘘を中心に家族の絆の強さを描いたヒューマンドラマ。

エカおばあちゃんを演じたエステル・ゴランタン。85歳で女優デビューし、本作の撮影当時はなんと90歳!演技じゃなくてもう素の姿のように思えます。そのくらい自然体な演技でした。

映画自体は正直印象的な場面はどこか?と訊かれてもすぐにポンと出てきません。それほど素朴で地味な作品ですが、ラストで感じる心の温かみは強く残っています。

本作はグルジアの歴史も1つのキーポイントになっていて、おばあちゃん、娘、孫娘の3人がそれぞれ自国に対する考えも異なります。それも他の映画とはまた違いがあるところですし、考えの違いがあれど最後は家族の絆という根幹に落ち着きます。

登場人物たちのその場の心情を読み取りやすい絶妙な演技を見せてくれたキャストの皆さんの好演も素晴らしかった。物語自体もさほど説明過多にならず、自然な形で展開出来ていたと思います。

あまり目立たない作品ですが、その内容は間違いなく良質。失ったことを嘆くのではなく、大事なのはこれからの事というのを考えさせてくれる良作です。
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