じんやちゃん

ジャイアンツのじんやちゃんのレビュー・感想・評価

ジャイアンツ(1956年製作の映画)
4.4
・感想
私も幼い頃に父から、「これは全員が通る道、1人で乗れる様にしなくてはいけない」と言われて、無理やり乗せられた補助輪なしの自転車から急に手を離され、石壁に激突事故を起こした過去が蘇りました。
今でも「ごめん」と。
最近の映画だと重要な部分を無駄なくカットしていきますが、昔の映画だと風景の描写等を長く映す所とかがあって、時間を度外視させてくれる芸術作品は素敵です。
どちらのタイプも好きです。
脚本は間違いないし、演技も凄いし、ジェームズ・ディーンはかっけえし、ジェームズ・ディーンはカッコいい!
人生に一度は観ることをお勧めします。

・考察etc... (※ここからネタバレ要素あります)
原作は1952年の小説『Giant』 だそうです。12年かけて作られたとか。
その後、1956年に公開された映画が本作品です。
舞台はテキサスで、1つの家族の人生に焦点を当てた物語になります。201分という長編ですが、1920年代から約30年間に渡る家族や周りの人間模様を描いているので、展開は意外にも早く感じられると思います。
映画全体として、時代の移り変わりに併せて考え方の刷新を促している描写が所々に見られました。
当時から現在に至っても残り続ける人種差別についての言及や、こうしなくてはいけないという縛られた古い考えについて、世の中へと一石を投じている映画です。
映像はビンテージですが、今の時代でも古さを感じさせないテーマの追求で、考えさせられる素晴らしい作品だと思います。
調べたところ当時の時代背景としては、アメリカの開拓する土地がいよいよ無くなり、今ある土地や資産をどうやって繁栄させていくかという部分にフォーカスし始めた転換期の様です。
一昔前の考えを持った西部のカウボーイ達は時代遅れと化し、西部劇の最期の時代とも取れる、アメリカの寂しさも感じられる作品に仕上がっていると書かれているものもありました。
結果として、苦労の末、巨額の富を得て成功しても、愛を持って平等に接する事が出来なかったジェット。逆に、常日頃胸の中に差別意識を持っていたジョーダンは、ラストで人種差別を受けた自分とは全く繋がりのない家族を体を張って助けました。
富や名声等を持ち合わせるよりも、本質的な愛の人情を手に入れた方が、よっぽど自分も周りも幸せになれるという結末は、どんな人が見ても大切な事を考えさせられる描写だったと思います。
ただ、ジョーダンも根本的に差別意識のない善人になった訳ではありませんでした。根本的に解決するには険しい道のりで、人々の心に染みついた差別意識を改善するには、時間がかかるという意味が込められているのではないかと感じました。
後で見つけた他の方のレビューでは、作品のタイトル『ジャイアンツ』も、家柄や、資産等の大きさではなく、心の大きさこそが重要だという意味が込められているとの考察もあり、納得しました。
またネット上の記述にはなりますが、ジェームズ・ディーンはこの撮影の1週間後に亡くなってしまい、遺作になってしまったそうです。
ロックの元祖エルヴィス・プレスリーの出演した代表作『闇に響く声』は、元々エルヴィスの敬愛するディーンが主演で撮影の予定がされていた映画だったそうですが、彼の急死によって急遽エルヴィスが主役に抜擢されたという記述もありました。そんな彼も早くに亡くなってしまう訳ですが、2人が残した作品の数々は、永遠に人々の心に残っていきます。