方眼

ジャイアンツの方眼のレビュー・感想・評価

ジャイアンツ(1956年製作の映画)
4.2
1956年”Giant”。いろいろあって、テキサスの大男が成長する話。巨匠監督は本当に油断ならない。3時間以上の全てのシーンで、感情を一方向に誘導しない。比較、対照、対立の同居。冒頭から列車と馬群の対比、そして自動車、西部の終焉。西部男が東部にやって来る。お屋敷で夕食から朝食まで、部屋にいる複数名が常に異なった意見と感情を持ち、それを奥行きを活かした構図で撮る画面上の多層性。音楽も場面とずらし、情感を盛り上げすぎない。主人公たちは結婚し、舞台はテキサスへ。弟と姉、嫁と小姑、主人と使用人、白人とメキシカン、病気と事故と、対比が続く。日照で倒れたレズリー、翌朝の佇まいには姉ラズと同様にこちらも驚く。象徴的にレズリーの踏んだ後の泥から石油噴出。子供の育成方針で意見相違、実家に帰るのソフトなやりとり、その後も意外な展開。大戦後、厳粛な葬儀でもあくびする少年をモンタージュ。後半はみんな老けメイク、ドラマ上は儲ける金額も家族数も多くなるが、レズリー/ジョーダン/ジェットのヒリヒリする関係が薄くなり少し失速。クライマックス、田舎成金パーティに人物集合、ジェームス・ディーンがスゴすぎて目が釘付け。明らかにブラピは彼の演技を参考にしている。ホテル・屋敷・プール、その場にいる複数名の異なる感情が手前と奥で交錯、ラスト前のレストランへ。ロック・ハドソンは他の西部劇だと長身ハンサムがヒーローとして浮くが、嫌な奴だとはまる。是枝監督の福山雅治の使い方に通じる。原作は石油版「嵐が丘」をやろうとした感じ、ジェットはヒースクリフ。スコセッシが本作好きなのわかるが、後半のジェット成り上がりを退廃的に撮れない時代背景も認識済。他者の結婚式で愛情を確かめるのはワイラー「我等の生涯の最良の年」からの引用。だとすると58年「大いなる西部(The Big Country)」は本作への返答で、殴り合いはスゴい遠景。明るい”I've been workin' on the railroad”のメロディと哀しいワインドミノの大作。
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