コーカサス

ジャイアンツのコーカサスのレビュー・感想・評価

ジャイアンツ(1956年製作の映画)
4.8
「主役を食う」とはまさにこの事。
ジミーは完全に主役を食っている。
監督はジョージ・スチーブンス。
日本で云うなら黒澤明のような完璧主義者である。
前2作で浸かった緩さはないだろう。
ジミーはジェット・リンク同様、現場でもロック・ハドソンをいら立たせ、初老役にも徹底して挑んだ。
実際、彼を撮影したカメラマンのサンフォード・ロスの写真集を見れば、徹底した老け役の“それ”が分かるはず。
NGが許されないラストシーンでは見事一発で決め、その瞬間スタッフのすすり泣く声が聞こえたそうだ。

ジミーはこの映画の撮影中、皮肉にも交通安全広告のインタビューを受けている。
♪Three steps to heaven (天国まであと三歩)をリリースした直後、実際に天国へ旅立ってしまったロック界のジェームズ・ディーンことエディ・コクランもまた同じ。

《三部作のまとめとして》
『エデンの東』のキャル、『理由なき反抗』のジム、そして本作のジェット…。
芝居のテクニックを超え、彼らはジミーそのものだった。
彼の残した三作品は繰り返し観て来たがまだまだ見付けていない部分が沢山ある。
彼の姿が形付くまで、これから先何度でも観ようと思う。

104 2018 1994/7/12