クレセント

ジャイアンツのクレセントのレビュー・感想・評価

ジャイアンツ(1956年製作の映画)
3.7
監督のG.スティーブンスは、E.テイラーを迎えて米国北部出身の上流階級の娘に仕立てて、南部テキサスの大牧場の跡取り息子と結婚することで、当時まだ排他的であったが、徐々に時代と共に変遷していく南部魂の崩壊を彼女を通して語らせようとした。

もともとテキサスは先住民であるメキシコの領土であったものを、強引に略奪したわけで、なおかつ先住民を追い払い、差別待遇することに北部の血気盛んなE.テイラーが、がむしゃらに抗議し、抵抗していく様が描かれている。

一方、成り上がり者のJ.ディーン扮する後の石油王は、そんなE.テイラーに
強い愛情を示すが受け入れられず、それが最後まで物語の伏線となって観客を魅了する。彼の俳優としての独特な雰囲気は、エデンの東でも実証済みで
好きな女性の前では素直な自分をさらけ出せるナイーブさが身上である。

R.ハドソンが車で立ち寄った店で起こした店主との喧嘩は、この物語の結末を意味したもので、それを見たE.テイラーが優しく、最高に素敵だったわ、と彼をいたわったが、この半世紀にもわたる物語の終焉を見た感じがした。
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