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ジャイアンツの小のレビュー・感想・評価

ジャイアンツ(1956年製作の映画)
4.1
「午前十時の映画祭9」にて鑑賞。『シェーン』のジョージ・スティーヴンス監督作品で、本作撮影後、交通事故により24歳で亡くなったジェームズ・ディーンの遺作。第1次大戦後1920年のアメリカ、テキサスで広大な土地を持つ牧場主ビックのもとへ嫁いだヴァージニアの名家の娘レスリイの30年に及ぶ物語を3時間半弱かけて描いた作品。

現代は『Giant』。これが何を指すかについてはいろいろな見方がありそうだけれど、自分としてはアメリカがGiantとなるには、金銭面の成功を優先するのではなく、人種、性別による差別をなくし、国民がひとつになることだ、と解釈した。

映画製作は1956年で、アメリカの黒人が公民権の適用と人種差別の解消を求めて行動した公民権運動(1950年代から1960年代)の最中。差別が当たり前として育ったビックと人種・性別にかかわらず人間は対等であるべきだと考えるレスリイ。ひょんな巡り合わせから一山あてた元使用人のジェット。

古い価値観に縛られるビック、彼に悩むレスリイ、富と名声を手に入れても満たされないジェット。それぞれが当時のアメリカを映しているみたいだけれど、根本的には今なお変わらないようにも見える。

尺の長さはラストシーンの説得力を強めるための演出ではないかと思うくらい。人が価値観(ここでは差別意識)を変えるには、少なくともこのくらいの物語が必要だということなのかもしれない。

●物語:4.0
・長いけれど、今なお古びない普遍的な物語かも。

●その他:4.2
・ジェームズ・ディーンが24歳とは思えない演技を披露。あの告白シーンは自身が監督に進言したとか。
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