ねぎおSTOPWAR

ジャイアンツのねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

ジャイアンツ(1956年製作の映画)
4.3

年末に観た「陽の当たる場所(1951)」と基本同スタッフ。
監督:ジョージ・スティーブンス
撮影:ウィリアム・C・メラー

双方に出演しているのは稀代の女優エリザベス・テイラー!
ジェームス・ディーンの遺作でもあります。
ふたりはメソッド俳優です。

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アカデミー受賞作品を観よう91(1956年第29回監督賞)
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《監督の前提の話》
おさらいをすると、ジョージ・スティーブンス監督はフランク・キャプラ監督やウィリアム・ワイラー監督らとスタジオに対抗して制作会社を作ったメンバー。
撮影のメラーなどと第二次大戦の戦地記録映画隊として従軍。後に貴重な映像となるドイツの収容所での殺戮の証拠などを映像で残すこととなった。
帰国後、それまでのコメディ路線ではなくシリアスな方向に転換。前記制作会社の一作目となったのは「ママの思い出(1948)」で二作目が作品賞も受賞した「陽の当たる場所」。次が「シェーン(1953)」でその次がこれ「ジャイアンツ(1956)」!

そもそもの特徴として、ジョージ・スティーブンス監督は"遅い監督"。とにかく撮影に時間がかかる。・・・確かクリント・イーストウッド監督作品のどれかで書いた気もするんですが、実は当時ハリウッドの定型がこのジョージさんタイプで、それを覆して早く安く撮る極端な人がクリントさん。
何かっていうと、その定型とは、一つのシーンをまず広い画で撮影します。次にテイク2として少し寄ったバストアップくらい?で撮ります。そしてテイク3でアップを撮ります。という具合にそれぞれに合わせて照明や美術の作り直しして撮影するから、そりゃ時間がかかる。長所は編集でこぼれがない!全部撮ってるから。短所は捨てるところが、無駄が多い。言ってみれば頭の中で画が定まっていない。

まあね、いいか悪いかは別にして役者も大変だ!それこそ再現力が必要。


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《この映画の話》
第4回アカデミー作品賞の「シマロン」っていうオクラホマ州の歴史みたいな話があるんですが、その原作作家エドナ・ファーバーさんが12年間かけて書いた一大小説「GIANT」の映画化なわけです。
こんどはテキサス州。
やっぱり脚本家と監督が違うからテイストは違うんですがね、でも生命力あふれるアメリカ黎明期ってのはすごいですね。

詳しくは知りませんが、いろんな映画においてテキサス出身の人物っていっつも「あーあー」みたいな扱いです。「真夜中のカーボーイ」「ノーカントリー」ほかたくさんありますよね!
今回もまたテキサスの誇り高い男なんてセリフも出てきます。「おいおいっ、歴史と違うこと主張して誇り高いってなんだ?お前!?」みたいな突っ込みも可能なくらいにぶっ飛んでます、テキサス!
これら(っていう程書いてなくてざっくりしてますが)含めてアメリカ人に突き付けてる感じの映画ですね。アメリカ人の普通の姿、見え隠れする本音をエグい演出をして「あんたたちこんなんだぜ?」みたいに。
メキシコ人差別。
貧富の差別。
男尊女卑。
親は絶対。
いつでもコーヒー。
アル中。
馬は乗りもの。
などなど。


最後のまとめモードがね、観客にやさしいんですよ。
二人の孫でビジブルに表現。セリフ付き!
そして若干意味不明な(笑)エリザベス・テイラーの旦那への言葉!殴り倒されて動けない旦那に成功を見る妻???徳川家康か??
まあ観てみてください。

あと映像的に面白いのは・・
冒頭汽車と並走する形で馬群が疾走するドリーショット!見事ですよ!大自然と文明の高まり。
そしてテキサスを表す広い画。
何時間もかけてたどりついた家は、荒野にポツンと不似合いな御殿。後に庭とプール。三代続く名家に思えないんですよ。冗談か?というくらいの画は監督の意図でしょうね。
正月翌日から仕事だ!201分、あー疲れた!笑



9/1