ゴッサムシティが狭い。
ここで生活している人がいるとはとても思えず、こんな街がどうなろうと知ったことではないと思った。特に冒頭のおもちゃ箱からの襲撃シーン。
(自分の中でダークナイト以降のバットマンがスタンダードになっているので、ティムバートンのドールハウス的な世界観が合わない。)
キャットウーマンの覚醒シーンは、その前の会議の嫌さも相まって見応えがあった。
ペンギンやキャットウーマンの境遇や、それに相対するバットマンからは、「悪党から町を守るのがバットマンだけど、町が終わってた場合それって機能すんの?」みたいな論点が見えてきて面白い。この論点はフーコーの考えにも通じる。曰く、正常異常の境界線は社会の形によって引かれている。
では、町全体が終わってる場合バットマンは何を守るわけ?
バットマンに対して、良い歳して何してんの?とも思う。これはザ・バットマンを見たせい。
「なぜ殺す?」という、マックスを殺そうとするキャットウーマンへの説得も、その前に彼が大男を爆殺したシーンを見ちゃってるから、誰が何言ってんだよとしか思えない。これでキャットウーマンが"改心"する様な展開じゃなくて本当によかった。
悲しき化け物。社会から爪弾きにされる者達の悲哀。みたいな所から話が進んでなくて、バットマンは彼らの悲哀を見届けるくらいしかしていないのが残念だった。
シザーハンズを窓の外から眺めるバットマン、みたいな感じ。
抑圧された者達を耽美に描きたかっただけで、上で挙げた「バットマンは何を守るべきなのか」みたいなところにはあまり興味がないのだろうか。
・あと解せないのは、そしてめちゃめちゃ笑ったのはペンギンがバットマンに演説をジャックされるシーン。
みんなトマトを投げていたけど、その前はみんなでペンギンを応援してたじゃん。何?みんなペンギンを応援してはいるものの、一応トマトを持参して集会に臨んでいたの?どんな市民?