イチロヲ

バットマン リターンズのイチロヲのレビュー・感想・評価

バットマン リターンズ(1992年製作の映画)
4.5
ゴッサムシティに暗躍する凶悪なサーカス団が、社会の秩序を守るバットマンと対立する。ティム・バートン監督のゴス精神とバットマンの世界観が見事なる化学合成を起こしている、DCコミックス原作のアクション映画。

本作の醍醐味は、主要人物のほとんどが社会不適合者であり、社会の不条理に抗おうとしている点にある。とりわけ、キャットウーマンの誕生シーンは何度見ても胸に迫るものがあり、まるで自分の分身を見ているような気分にさせられる。

悪役のペンギンもまた根っからの悪人ではなく、失望の行く末にバットマンがいただけに過ぎない。キャットウーマンも、はじめは破壊すべき秩序としてバットマンに矛先を向けるのだが、「自分が空っぽの存在だということ」を自覚してしまう。

筆者が「クリスマス・ムービーといえば?」と訊かれたら、真っ先に思い浮かぶのが本作。さすがに人と対面して言えることではないし、率先して薦められるタイトルではないけれど、個人的に思い出深い作品のうちのひとつ。
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